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学位 社会科学

「社会科学に関する基礎的かつ総合的な科目」とは

具体的にどの科目でクリアしたか

大学評価・学位授与機構の「学士(社会科学)」において、単位を集める上で厄介なのが「社会科学に関する基礎的かつ総合的な科目」4単位である。これが何だかよく分からない。

結論をいえば、僕は、放送大学の「市民社会の知識と実践」「環境と社会」でB群をクリアした。

ただし、ネット情報によれば同じ科目を履修していてもある者はOK、ある者は×という結果になることもあるという。

若干の考察

折角なので、少し考えておこう。まず押さえたいのが、社会科学の単位の要件のうち、A群が政治学や経済学など社会科学の各分野である趣旨だ。これは「社会科学の各分野の基礎知識を広く学びなさい」というものだろう。するとB群の科目は、単に「各分野を個別的に学べ」というものではない。では、B群「社会科学に関する基礎的かつ総合的な科目」の要請とは何だろうか。

総合的とは何か

「総合的」とは何か。「学際的な科目」に近しいものか。学際的(Indisciplinary)とは、経済学や法学、工学、医学というDisciplinary(規則のある、きっちり決まった)なものに対する概念で、線引きのない学問分野をいう。観光学、地域研究、ジェンダー研究、環境学がそうだと聞く。要は、「法学」「経済学」と専門的に切り分けられたものではなく、その接続部分から、既存の個々の学問とは異なるアプローチをするような分野だろう。B群の「総合的な科目」というのは、おそらく、そんなアプローチの基礎を学ぶことができそうな科目を指すのだろう。

まぁ、結局、「では何が総合的か」と言われれば断言できない。ただ、僕の経験では、上記の2科目でクリアできた。

誰かの役に立てば幸いということで、記録に残しておこう。

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学位 放送大学大学院

放送大学大学院(1) 出願

出願まで

出願は夏。僕は2020年8月下旬に出願を行った。インターネットでも出願できるようであったが、僕は郵送であった。なお、願書は最寄りの学習センターで配布されている。

「これを出すと、2年間の研究&約50万」と思うと、なかなか筆が重いものである。しかし、今にして思えば、50万でこれほど濃密で充実した日々を送れたのだ。決して高いものではあるまい。

提出書類①出願票

出願票は基本的に、住所氏名や勤務先など当たり前のことしか書かない。この資格を満たしている書類を出身大学から交付を受ける必要がある

提出書類②研究計画書

出願の段階で題目を書く。研究計画書は、その進め方を示すものである。この書き振りこそが合否を分けるのではないかと思う。
オーソドックスな研究計画書の書き方を知らんが、「研究計画だけを書く」というものではないだろう。先行研究の有無や新規性を書く必要がある。

字数制限は1000字程度。極めて短いので、まとめるのが難しい。参考までに、僕は次のような構成とした。

1目的
□□には〇〇という問題がある。これについて△△であることを実証したい(学術的に位置付けたい)

2先行研究
□□には、次のような先行研究がある。
(1)・・・。(出典)
(2)・・・。(出典)

3研究計画
(1)・・・について情報収集と分析
(2)仮説の論証方法の目途
(3)研究成果を実務へフィードバックする方法の目途

4新規性
△△は体系的な研究が多くない。この研究は学問的にも実務的にも意味があると考える。

提出書類③志望理由書

志望理由については700字程度が目安である。僕は、問題意識と大学院で研究を希望した理由、そして、「社会経営科学」という専攻にする理由を書いた。
書き振りは個々人の背景によって異なるだろうが、参考までに僕は以下のとおりであった。

・私は、〇〇の職務を行っており、この中で□□について問題意識を持った。
・この点について、学位授与機構の制度を利用し、〇〇の側面から考察して法学の学士を、〇〇の側面から考察して社会科学の学士を得た。このように□□に関する問題は、社会科学全般に及ぶ。これに対して私が独自の視点に基づいて整理を続けても、射程が再現なく拡大するおそれがあることから、研究者の指導を希望したものである。的な。

問題意識と、やってきたことをアピールすることを念頭に書いてみた。今にして思えば、品がないかなぁとも思うな。

提出書類④卒業研究等

過去に扱った卒論などを要約して書く。500字。
僕は学位授与機構に出した法学の学修成果を記載。学修成果に添付した要約文があるので、それを流用。

おわりに

放送大学大学院は、定員一杯まで入学できる訳ではない。
僕のときは社会経営科学は定員100名に対し出願が78名。このうち合格したのは35名に過ぎない。2.23倍だ。

ここから何がわかるか。
大学入試のように「定員まで絞るための試験」ではないことだ。では何を見るか。「修士論文が完成できかどうか」だ。

試験がそのような性格である以上、1次試験の英語や専門試験より、研究計画書などの出願時に提出する書類の書き振りのほうが重要なのかも知れない。何故か。

第1に、研究計画書や動機から論理性やセンスを見ることはできる。
第2に、何を研究しようとしているかを見ることにより、「2年でまとまるテーマか」というあたりも判断されるのだろう。

2点目の評価がどのように行われているかは知らんが、たとえば「民主主義の限界について」「社会の正義について」みたいな壮大なテーマをブチ上げてるのを見たとき、どう思うか考えてみよう。「2年で答えが出る訳ないやんけ」と思うだろう。

ウィトゲンシュタインじゃないんだから、「既存学問の議論に終止符を打つ」というような壮大な研究テーマは、まず敬遠されるだろう。2年、それも働きながらの研究ではとてもとても…。

巨人の肩に乗って」という。
先人の研究を基にして、ちょっと先へ進み、学問の発展に貢献することである。そう、ちょっと先の景色を見るくらいの新規性がちょうどいいだろう。

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